老年歯科医学
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調査報告
東京都世田谷区立特別養護老人ホームにおける施設,地域歯科医師会, 大学病院専門診療科における医療連携について
伊原 良明小池 丈司野末 真司湯浅 研原田 由香髙橋 浩二丸山 文恵桐原 仁子
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2016 年 30 巻 4 号 p. 388-392

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抄録

 老人福祉施設において適切に食事介助を行うことは重要であり,適切な食形態,栄養摂取経路の選択は考慮する必要があると考えられる。今回われわれは,東京都世田谷区立特別養護老人ホームにおける施設と地域歯科医師会歯科医師(かかりつけ歯科医)との連携について調査したので報告する。 対象:嚥下障害の診断にて,かかりつけ歯科医が昭和大学歯科病院口腔リハビリテーション科に嚥下機能検査の依頼をした施設入居者。 検査,対応法の決定:かかりつけ歯科医,歯科衛生士が口腔内診査,口腔機能検査を施行し,口腔衛生管理の指導,機能訓練を行う。施設栄養士が必要な食形態を用意し,関係者の立ち会いの下,当科が嚥下内視鏡検査(VE)を施行する。検査結果および訓練,食形態はその場で指導し,それを基に職員がミーティングを行う。2 カ月に 1 度食事観察に当科歯科医師が立ち会う。 アンケート:かかりつけ歯科医,施設職員に対し摂食嚥下障害を疑う症状,摂食嚥下障害の対応で悩む点,VE の利点,欠点について調査を行った。 結果:嚥下障害を疑う症状,対応で悩む点の両方で「むせる」という回答が最も多く,VE の利点は貯留状態がわかる,誤嚥の有無がわかることが多かった。欠点は嚥下に対する理解が十分でなくわからないところがあることが挙げられた。 考察:本結果より摂食嚥下障害に対する医療連携を行うためには,介助者に対する知識,技能の指導,向上が必要であることが示唆された。

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© 2016 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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