老年歯科医学
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原著
都市部在住高齢者を対象とした歯周疾患実態調査
白部 麻樹平野 浩彦小原 由紀枝広 あや子渡邊 裕吉田 英世大渕 修一
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2016 年 31 巻 1 号 p. 18-27

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抄録

 近年,高齢者の現在歯数は増加傾向にあり,それに伴い罹患するリスクが高くなる歯周疾患に関する調査は重要であると考えられるが,地域在住高齢者を対象とした報告は少ない。そこで,本調査は都市部在住高齢者を対象に歯周疾患の実態を把握し,Community Periodontal Index(地域歯周疾患指数,以下CPIと記す)のコードが高値に判定される要因を検討することを目的とした。対象は東京都I区の来場型健診を受診した65歳以上の都市部在住高齢者206名(男性76名,女性130名,平均年齢72.7±5.4歳)とした。調査項目は,現在歯数,CPI,歯周病原菌検査などの歯科項目,歯磨き習慣や歯科医院受診の有無などの歯科関連情報,全身疾患および服薬状況,喫煙習慣,認知機能評価(MMSE)などであった。調査の結果,CPIコード4の者が26.7%,CPIコード3の者が48.1%であった。現在歯数を20歯で分け,CPIコードが高値と判定される要因について検討したところ,20歯未満群では,糖尿病の既往と舌苔の付着が,20歯以上群では,高血圧が独立した関連要因として挙げられた。したがって,現在歯数が20歯未満の者に対しては,歯面に付着したプラークのみならず舌苔も含めたセルフケア確立の重要性,20歯以上の者に対しては,高血圧などの全身疾患の既往に配慮した歯周疾患アプローチが必要であることが示唆された。

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© 2016 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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