老年歯科医学
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臨床報告
直接法裏装材を用いて製作日数を短縮した総義歯製作法
陣内 暁夫鈴木 宏樹上野 陽子大内 謙太郎
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2017 年 32 巻 3 号 p. 373-381

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抄録

 入院患者の総義歯製作において,早期完成が必要とされる症例を経験する。今回われわれは,一般的な総義歯製作法で製作した総義歯に比し,総義歯を短期間で製作することを試みた。

 概形印象採得後,石膏模型上で義歯複製用常温重合レジンと既製ロー堤ワックスを用いて義歯床兼咬合床を製作した。患者の口腔内で,義歯床縁の延長およびリラインを行うと同時に咬合採得を行った。人工歯排列後,試適時に義歯調整を行い,重合・完成した。人工歯排列と重合・完成の過程は院外技工所に依頼した。今回報告した方法による,総義歯の概形印象採得日から義歯完成日までの平均製作日数は15±2.8日で,一般的な方法の平均製作日数35±3.7日に比し,有意に減少した(p<0.01)。

 今回報告する方法は,入院期間が短期間の患者や,経口摂取に支障をきたし早急に総義歯が必要な患者に適した総義歯製作法である。また,今回報告する方法を適用することで,簡便な方法で総義歯製作期間を短縮できることが示唆され,今後,歯科医療における総義歯製作法の選択肢が広がることが期待される。

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© 2017 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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