老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
認定医審査症例レポート
ビスフォスフォネート製剤長期服用の骨粗鬆症患者に対して残根上義歯作製により咀嚼能力が改善した症例
井上 昂也山添 淳一柏﨑 晴彦
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 38 巻 supplement 号 p. 69-73

詳細
抄録

 緒言:ビスフォスフォネート(BP)製剤の長期服用は顎骨壊死リスクがあり,抜歯後合併症のハイリスク要因となるが,咀嚼の妨げになる不良な歯の残存は口腔機能低下,低栄養の要因となる。今回,BP製剤長期服用の骨粗鬆症患者に対し,残根上義歯作製により咀嚼能力が改善し,食品摂取状況の改善がみられた症例を経験したので報告する。

 症例:87歳,女性。上顎臼歯部の動揺による食事摂取困難を主訴に歯科受診。既往歴に骨粗鬆症があり,BP製剤を長期服用。口腔衛生状態不良であり,残根歯,動揺歯を多数認めた。

 経過:初診時,咀嚼能力を「内田らの摂食状況調査表」にて評価したところ,食品摂取可能率は45%であった。口腔機能検査では5項目で口腔機能低下症を認めた。抜歯適応歯を認めたが,全身状態や栄養状態,早期摂食改善の希望を考慮し抜歯は行わず,上下顎残根上義歯を作製し,咀嚼能力改善を図ることとした。義歯装着から約1カ月後には,食品摂取可能率は60%に増加し,口腔機能検査でも数値改善が認められた。

 考察:今回,残根上義歯作製により咀嚼能力が改善したことで,経口摂取可能な食事のバリエーションが増加し,効率的な栄養摂取が可能となったと考える。また,患者の主訴を改善することができたことで,食事に対するモチベーション向上にも寄与できたと考える。

著者関連情報
© 2024 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top