老年歯科医学
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認定医審査症例レポート
粘膜類天疱瘡を有する高齢患者の咀嚼障害に対して抜歯と補綴治療を行った症例
渡辺 昌崇古屋 純一水口 俊介
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2024 年 39 巻 supplement 号 p. 8-12

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抄録

 緒言:自己免疫性水疱症の一つである粘膜類天疱瘡は高齢者に多く認められ,口腔粘膜が脆弱であることから有床義歯による欠損補綴治療が困難な場合が多い。本症例では,粘膜類天疱瘡と全身状態に配慮しながら,予後不良歯の抜去後,脆弱な口腔粘膜に配慮して有床義歯による欠損補綴治療を行った。その結果,咀嚼能力の改善,摂取可能食品の増加につながった症例を経験したので報告する。

 症例:患者は68歳,女性。「口腔粘膜のただれと入れ歯が合わず食べにくい」を主訴に,当院口腔外科から当科に紹介され受診した。当院皮膚科にて粘膜類天疱瘡と診断された。口腔内診察より顎堤や辺縁歯肉に粘膜類天疱瘡の病変,#16,35,37に重度歯周炎を認め,不適合な上下顎部分床義歯を使用中であった。

 経過:ステロイド薬とビスホスホネート製剤を長期服用中のため,医科主治医に対診したうえで予後不良歯の抜去を行い,有床義歯による欠損補綴治療を行うこととした。ガイドラインを参考に術後の手術部位感染が高リスクと判断し,アモキシシリン250 mgを前投薬し抜歯を行った。その後,顎堤粘膜が治癒し安定した後に有床義歯補綴を行った。義歯調整後に咀嚼能力の改善と摂取可能食品の増加を認めた。

 考察:本症例では,可及的に義歯床の拡大を行ったことが,義歯の安定性向上や支持域増加による粘膜の負担軽減,食物などの刺激からの粘膜保護につながり,主訴である咀嚼困難を改善することができたと考えた。

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© 2024 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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