老年歯科医学
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認定医審査症例レポート
脳梗塞後遺症と義歯の不使用による廃用が考えられた顎口腔機能不全と嚥下障害に対応した症例
池田 菜緒西 恭宏
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2024 年 39 巻 supplement 号 p. 84-88

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抄録

 緒言:脳血管障害は要介護原因第二位の疾患であり,口腔機能にも後遺障害を生じ,義歯の不適合や不使用は口腔機能の廃用にもつながると考えられる。今回,脳梗塞による後遺障害と口腔機能の廃用を生じたと考えられる超高齢患者に対し,咀嚼,嚥下障害の改善を図った1例を経験したので報告する。

 症例:患者は90歳の女性。「入れ歯が合わなくて,食べにくい」という主訴で当科を受診した。既往歴に脳梗塞とその後遺症で右不全麻痺がある。近医にて上下顎全部床義歯を製作し,調整を繰り返すも咀嚼時疼痛が改善せず義歯は不使用となり,心配した家族が当院を受診させた。

 経過:治療用義歯の製作装着後に食事時にむせを生じるようになったため,検査から咬合高径を低位に修正し義歯調整を繰り返して義歯への順応を図り下顎位を安定化させた。タッピング運動も力強く安定したため最終義歯を装着した。しかし,その後に食事時にむせる情報を家族から得たため,家族の協力を得て食事姿勢などの指導を行い対応した。

 考察:治療用義歯を用いて義歯への順応を期待し,この患者に適した低位の咬合高径の設定を行い下顎位の安定を図ったことが,高次脳機能障害の影響や加齢や廃用による機能低下に対する代償的対応につながったと考えられる。さらに,家族の協力を得た食事姿勢などの摂食観察も有効な指導につながったと思われる。

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