2024 年 39 巻 supplement 号 p. 95-100
緒言:右側下顎骨区域切除後に低栄養リスクを認める高齢患者に補綴治療と口腔機能訓練を行い,良好な結果が得られたため,その概要を報告する。
症例:79歳,男性。#46の腐骨除去後7か月経過してから右側下顎病的骨折が起こり,右側下顎骨区域切除とチタンプレート再建術を他院にて行った。2か月後,使用していた義歯が合わなくなったことを主訴に当科を受診した。
経過:初診時に口腔機能精密検査を行い舌圧と舌口唇運動機能の低下を認めたため,舌抵抗訓練とパタカラ体操を指導した。87日後に義歯を装着し,継続的な調整を行ったところ220日後に床下粘膜組織の疼痛が消失した。MNA-SFは13ポイントとなり栄養状態良好となった。786日後も特に問題なく義歯を使用し普通食を摂取できた。BMI,下腿周囲長,MNA-SF,SARC-Fが正常範囲となり,口腔機能低下症下位症状については,7項目中5項目が正常範囲となり口腔機能低下症状態から脱した。
考察:下顎骨区域切除をきっかけに普通食摂取が困難となった症例に対して義歯製作と口腔機能訓練を並行して行い,口腔機能検査の結果に基づいて義歯調整や訓練・指導を行うことによって,口腔機能と栄養状態の改善が得られたと考えられる。