老年歯科医学
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測定部位の異なる家庭用自動血圧計3機種の歯科臨床への応用に対する検討
金 昇孝山内 六男藤本 一博小川 雅之棚橋 正志
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1996 年 11 巻 1 号 p. 10-17

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抄録

高齢患者の歯科治療に際して, 血圧測定はルーチンに行うべき検査である。最近では, 簡便さの点から家庭用自動血圧計がよく用いられている。本研究では, 測定部位の異なる自動血圧計3機種を歯科に応用することを目的として, チェアー上で測定した場合, 機種によってどの程度測定値が変動するかについて検討した。また, 水銀血圧計を用いた聴診法による測定値と自動血圧計による測定値とどの程度相関があるのかについて検討した。
被験者には20歳代の男性25名と女性25名 (青年群), 65歳以上の男性25名と女性25名 (高齢者群) の計100名を用いた。自動血圧測定装置には上腕部測定型, 手首部測定型および指基部測定型を用いた。これらはいずれもオシロメトリック法にもとずいた自動血圧測定装置である。測定時の体位は座位と水平位とした。
指基部測定型で測定した血圧は聴診法よりも高く, 上腕部測定型では聴診法より低く, 手首部測定型では聴診法と同程度の値を示した。ただし, 自動血圧計3機種の測定値と聴診法による測定値との間には有意な正の相関がみられた。測定値のバラツキは聴診法が最も少なく, 次いで上腕部測定型および手首部測定型であり, 指基部測定型が最もバラツキが大きかった。
以上の結果から, 自動血圧計を歯科臨床に応用する場合, 用いる機種毎に聴診法との相違を把握しておく必要性あること, また, 指基部測定型は測定値の信頼性が乏しいことが示唆された。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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