老年歯科医学
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在宅寝たきり老人の口腔ケアに関する研究
第2報保健婦からみた口腔内状況と歯科保健の重要事項
下山 和弘岡田 弥生内田 達郎石川 直人小林 章二横地 みや子長尾 正憲
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1996 年 11 巻 1 号 p. 25-33

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抄録

在宅ケアでの歯科保健の充実を図るためには, 歯科保健に対する保健婦の意識および行動を明らかにすることが有効であると考え, 東京都および埼玉県で勤務する保健婦を対象に在宅ケアに関連する事項を中心に歯科保健に関するアンケート調査を行った。有効回答者は155名であった。
在宅寝たきり老人の「義歯の状態が悪い」とした者は94.2%であった。在宅寝たきり老人の口腔で最も問題となることは「義歯不適合」とした者が53.5%であった。義歯に対する満足度に関しては, 「義歯に満足しているとは思わない」とした者が94.8%であった。このように, 在宅寝たきり老人の口腔の問題は義歯に関することが最も多かった。
保健婦として在宅ケアで重要と思う歯科に関する事項として多く選択されたものは, 「義歯の清掃方法」 (81.3%), 「歯の清掃方法」 (79.4%), 「歯科受診の必要性の判断」 (69.0%) であった。保健婦として知識不足と思う歯科に関する事項として多く選択されたものは, 「義歯による治療」 (76.1%), 「歯の治療」 (74.8%), 「歯科受診の必要性の判断」 (69.7%), 「義歯の清掃方法」 (67.1%) であった。これらの結果から, 歯科保健に関する教育, 指導にあたっては, 口腔ケアと口腔内状況を的確に評価, 判断できる能力を育成することが重要であると思われる。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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