抄録
舌癌術後の機能障害によらて摂食機能の低下を生じた患者に対して, Palatalreshaping prosthesis (PRP) の装着を中心とした摂食・嚥下機能訓練を行ったところ嚥下機能および食形態に著しい向上が認められた1例を経験した。
症例は73歳の一人暮しの女性で, 平成4年12月に舌悪性腫瘍のため右側舌亜切除術を受けた。平成8年2月に主治医の紹介により日本歯科大学歯学部附属病院高齢者歯科診療科に義歯作製を主訴に来院した。来院時の食事形態は自己流で作ったミキサー食であったが, 固形食を摂食したいという希望があった。
PRPの装着とともに構音訓練, 口腔周囲筋群の運動訓練, アイスマッサージ, 栄養士による栄養指導などの摂食・嚥下機能訓練を行った。4ヵ月後, 母指大程度の固形食の摂取が可能になり, 嚥下機能の回復, 流唾の減少が認あられた。