老年歯科医学
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オーバーデンチャーのノンコーピング法支台歯の観察
山賀 保糸坂 直志吉田 奈々野首 孝祠
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1997 年 12 巻 1 号 p. 11-17

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抄録

人口の高齢化が進むにつれて, 口腔においても種々の問題が生じるが, その一つである少数歯残存症例においてはオーバーデンチャーの適応症となることも多い。この支台歯として歯根を保存する方法の1つであるノンコーピング法においては, 露出した象牙質を保護する必要がある。
象牙質においては, 有機成分も多いことから, 著者らは歯質の有機, 無機両成分を強化するタンニン・フッ化物合剤 (HY剤) を義歯床に適用し, 支台歯齲蝕に対して良好な予防成績を得てきた。今回は, 簡便な齲蝕予防法として, HY剤を配合したタンニンセメント (HYc) を支台歯内部に適用する方法を考案した。
支台歯は歯肉縁から2~3mmの高さまで切断したのち, 根管口部に窩洞形成し, 窩底をHYcにて裏層してからレジンにて充填し, 切断歯面の研磨を十分に行い, 経過観察を行った。
支台歯は歯肉縁から2~3mmの高さまで切断したのち, 根管口部に窩洞形成し, 窩底をHYcにて裏層してからレジンにて充填し, 切断歯面の研磨を十分に行い, 経過観察を行った。
この方法は, HYcを支台歯内部に用いて歯質を強化するため, 義歯床に対して齲蝕予防のために特に処置する必要がなく, 高齢者の補綴法として有効であることを観察中である。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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