大阪市に隣接した松原市において, 歯科医師会が1986年以来実施している成人歯科健診の結果を分析した。
う蝕の未処置歯数および処置歯数には年代間に大きな差はみられなかったが, 喪失歯数は60歳以上の年齢区分において特に大きかった。この結果は, 一度治療した処置歯におけるう蝕の再発あるいは歯周疾患の罹患の結果として高齢期には喪失歯が増加することを示唆するとともに, 住民の口腔保健の実情が中高年層よりも青年層にかけて比較的に低下している可能性を示しており, 当該地域における早期からの対策の重要性が指摘している。
健診の受診者は女性の40~59歳が特に多い傾向がみられたが, 診査結果においても, この年齢区分においては女性が男性よりも一人平均処置歯数, 一人平均喪失歯数, DMF歯数ともに有意に大きかった。