老年歯科医学
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パーキンソン病患者における習慣性顎関節脱臼の治療経験
山田 素子永山 寛山崎 喜之佐藤 雅志濱本 真
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1999 年 14 巻 2 号 p. 126-130

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抄録
高齢脳神経疾患患者では, 習慣性顎関節脱臼を併発することがある。顎関節脱臼の再発予防として, 従来は, チンキャップ, 包帯法, 観血的療法が行われてきたが, 我々はパーキンソン病患者の習慣性顎関節脱臼症例に対して, 抗パーキンソン薬の調節が有効であった症例を経験したので報告する。
症例は71歳の女性。主訴は義歯の不適合と顎関節習慣性脱臼で, 主な基礎疾患はパーキンソン病であった。当初徒手的整復を行い, 再発予防として包帯法を行ったが、その後も顎関節の脱臼を繰り返した。当センター神経内科に入院し, 抗パーキンソン薬の調節を行ったところ, 姿勢の保持改善とともに, 顎関節脱臼はみられなくなった。しかし, 退院後, 自宅での食事や服薬が不規則になり, 流誕等の症状の発現とともに, 再度顎関節脱臼を繰り返すようになった。そこで, 神経内科における抗パーキンソン薬の再調節や家庭における食事および服薬時間の厳守に努めたところ, 顎関節の脱臼はみられなくなった。
本症例では, パーキンソン病による錐体外路症状の変化と顎関節脱臼の発現が連動していたことから, 顎関節脱臼にはパーキンソン病による咀嚼筋の機能障害が関与しているものと考えられた。また, 習慣性顎関節脱臼の再発予防には, 抗パーキンソン薬の調節による錐体外路症状のコントロールが有効であった。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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