老年歯科医学
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高齢疑似体験学習が歯学部学生に与える影響
戸原 玄下山 和弘宮下 健吾植松 宏
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2000 年 14 巻 3 号 p. 270-274

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抄録
日本における人口の高齢化はきわめて急速で, 歯科を受診する高齢者の数も増加している。高齢者に歯科治療を行う際には高齢者に特有の問題を理解し配慮する必要がある。そこで我々は, 年をとるということを実感として捉えてもらうために学生実習において高齢疑似体験学習を行った。調査対象は東京医科歯科大学歯学部高齢者歯科学講座の行っている授業に出席した歯学部4年生64名 (男性35名, 女性29名) である。実習は高齢疑似体験役・介護者役の2人1組で行った。高齢疑似体験役は「白内障メガネ」, 「重り」などを装着し, 「文字を読む」, 「階段昇降」等の課題を行い, 事後にアンケートを行った。高齢疑似体験役の学生の感想は不自由という意見が多く, このうち半数以上が「予想以上」に不自由であったとしていた。イメージを変えることが体験学習の目的であるため, 実習後のアンケート結果から高齢者を理解する体験学習において充分な成果が認められたといえる。介護役の感想には階段昇降が困難そう, また手先が不自由そうという意見が多かった。今回の実習は専門教育が始まったばかりの学生に対して行われたものであるが, 高齢患者を理解する一助となるものと思われた。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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