老年歯科医学
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歯根面齲蝕とくさび状欠損の診断方法, 修復処置と予防方法に関する調査成績
眞木 吉信杉原 直樹石原 博大榎 聰滋高江洲 義矩湯浅 太郎
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2000 年 15 巻 1 号 p. 31-39

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抄録
本研究は, 日常の歯科臨床における歯根面齲蝕ならびにくさび状欠損に対する診断方法, 処置方法, 病因に対する考え方および予防手段に関する現状を把握しようとしたものである。調査対象は千葉市歯科医師会の会員のうち, 大学病院勤務者を除く400名で, 1995年7月24日から8月31日の期間に, 質問紙郵送調査を実施した。調査内容は, 歯根面齲蝕の診断方法と処置方法および修復材料の選択, くさび状欠損と歯根面齲蝕の処置方法の相違, 歯根面齲蝕とくさび状欠損の要因ならびに予防手段の相違であった。
この調査の結果, 歯根面齲蝕とする基準は病巣の感触と病巣の色調をあげる者が多く, 処置法は成形修復が98.3%と大部分を占めた。修復材料はコンポジットレジン, グラスアイオノマーセメントが多く使用されていることがわかった。さらに, くさび状欠損と歯根面齲蝕の処置方法に関しては, 同じとする者が43.8%, 異なるとする者が52.8%でほぼ同数であったが, その病因としては, 歯根面齲蝕では歯垢, 歯齦退縮および砂糖摂取が多く, くさび状欠損はブラッシング法とブラッシング圧とする者が多かった。さらに, 歯根面齲蝕の予防手段としては, 正しいブラッシングの徹底と砂糖の制限が主で, くさび状欠損の予防手段には, 正しいブラッシングの徹底, 咬合調整, 歯磨剤の不使用があげられた。要因と予防手段に関しては, 一致した見解が確立されていないことを反映して, 多岐の項目に分散する傾向があった。また, 調査対象者の大学卒後年数と歯根面齲蝕の修復材料の選択および予防手段としてのフッ化物の応川には, 一定の傾向が認められた。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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