老年歯科医学
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Face Scaleによる下顎骨高度萎縮無歯顎患者の気分評価
長岡 英一西 恭宏鎌下 祐次濱野 徹小野原 昌弘
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2002 年 16 巻 3 号 p. 356-365

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抄録
顎堤が高度に萎縮した無歯顎患者の病態は多様で, 咀嚼不全による不満足な食生活など, その症状により患者のQOLは様々な程度に障害されている。これらの病状は, 義歯改造により改善され, その改善に伴って患者の表情が明るくなることも経験する。このような表情の変化は, 精神的ストレスの軽減あるいは気分の改善によりもたらされるため, その客観的評価が重要である。
そこで, 著者らは, Lorishらがリウマチ患者の気分を評価するために開発したFaceScaleを義歯患者に適用する方法について検討している。
一方, 著明な骨吸収により高度に下顎骨が萎縮した無歯顎患者に対して, 頬棚部を有効に活用して, それによる支持と頬筋による維持を得て義歯の安定性を確保し, 良好な治療成績を得ている。
本論文の目的は, 下顎骨骨折例を含む3名の下顎骨高度萎縮無歯顎患者の治療成績をもとに, FaceScaleによる義歯患者の気分評価の有用性と利用法を提示し, FaceScaleが義歯患者のQOLの評価に有用であることを示すことである。1症例においてアンケートに記載された患者の気分を客観的に評価する方法の必要性を問題提起的に提示したあと, オリジナルの20段階のFaceScaleを最初に適用した症例を提示し, 7段階に改変したFaceScaleの適用例を提示する。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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