老年歯科医学
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義歯装着者に適したチューインガムの噛みごこちと付着性
高橋 保樹平野 滋三石川 恭敬早川 巖関 哲哉
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2002 年 17 巻 2 号 p. 120-126

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抄録

近年, チューインガムを咬むことによる顎口腔系への効果が明らかにされ, 老化防止の可能性も示されている。そこで本研究では, 義歯に付着しにくくかつ義歯装着者が容易に咬むことができるチューインガムを開発するために, まず粘度を指標とした硬さの異なるガムを試作し, 各ガムの針入応力および補綴材料に対する付着力を測定した。次いで, 試作したガムを全部床義歯装着者に咬ませ, ガムの義歯に対する噛みごこちと付着性について, 質問紙を用いて調査し, その評価をスコア化した。得られたスコアがガムの硬さ, 義歯装着者の性別, 年齢, 義歯使用期間および咬合力によって受ける影響を検討したところ, 以下の結論が得られた。
1. 針入応力
ガムの硬さによって有意に影響を受け, 柔らかいガムにおいて有意に小さい値となった。
2. 補綴材料に対する付着力
ガムの因子, 補綴材料の因子ともに有意性が認められ, 柔らかいガムが付着しやすく, かついずれのガムもレジン系の材料に付着しやすいとの評価が得られた。
3. 噛みごこちのスコア
ガムの硬さによって影響を受けなかった。咬合力との間についてのみ有意な弱い正の相関が認められ, 咬合力が低い被験者において, 柔らかいガムの方が咬みやすいとの評価が得られた。
4. 付着性のスコア
ガムの硬さが有意に影響し, 柔らかいガムが義歯に付着しやすいとの評価が得られた。また義歯使用期間との間で有意な弱い負の相関が認められた。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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