老年歯科医学
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下顎全部床義歯支持域の評価法に関する研究
内田 達郎大木 洋輔早川 巖
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2002 年 17 巻 2 号 p. 127-134

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抄録

下顎無歯顎顎堤の形態は全部床義歯による口腔機能の回復に重大な影響を与える。無歯顎顎堤形態の評価はその高さや可動粘膜の付着部位などから評価されている。
本研究の目的は全部床義歯を製作する模型の体積と面積を計測することにより, 下顎全部床義歯支持域の評価方法を検討することである。
10人の無歯顎患者について咬合採得が終了した後, 下顎全部床義歯支持域の計測を行った。計測項目は義歯床内面体積 (V), 義歯床内面表面積 (S), 義歯支持基盤面積 (B), 咬合平面に対する義歯床内面投影面積 (P) とした。顎堤の形態と可動組織の付着部位から義歯支持域の臨床的評価を行い支持域スコアとした。計測結果と支持域スコアの単相関係数を計算した。また計測結果を独立変数に, 支持域スコアを従属変数にした重回帰分析を行った。
この結果以下の結論を得た。
1. 本研究の計測値は過去に報告された結果と同様であった。
2. V, S, V/B, V/Pは支持域スコアと有意な正の相関を示した。
3. V/P, S/P, B/Pを独立変数にし支持域スコアを従属変数にした重回帰係数は0.98 (p<0.0001) であり, これらの変数を用いて義歯支持域の評価を行うことが可能であることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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