老年歯科医学
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重度痴呆患者 (脳血管性痴呆) への総義歯治療の1例
貞森 紳丞佐藤 幸夫中居 伸行浜田 泰三
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2003 年 18 巻 2 号 p. 129-133

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抄録

日本は高齢社会となり, 痴呆の問題が社会の注目を集めている。歯科においてもいろいろな方面から, 痴呆に対してアプローチがなされ, 義歯装着と痴呆との関連についても興味が持たれている。義歯を装着して食事をすることは, 日常の介護とも密接な関係があり, これからさらに検討していかなければならない問題である。しかしながら, 義歯の使用と痴呆との関連については, 未だ不明なことも多く, 相反する報告もみられる。その1つの原因として, 痴呆症状の多様性が考えられる。痴呆症状の多様さのゆえに, 報告者により若干異なった結果になっている可能性がある。アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆が痴呆患者の大部分を占めるといわれているが, アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆とで, 臨床症状が異なることは広く知られている。さらに, 痴呆の原因疾患は多くあり, しかも痴呆は進行性である。従って, 痴呆と一括りにして, 検討することに少し無理な面があるのであろう。
本報告は, 重度痴呆高齢者の上下無歯顎の患者で, 所持していた上下顎総義歯を紛失し, 上下顎総義歯を新製し, 良好に義歯を使用している患者を追跡調査したものである。その結果, 重度の痴呆であっても, 状態によっては義歯製作, 使用, 清掃ができることがわかった。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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