老年歯科医学
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急性期から維持期にいたる訪問歯科診療対象者の特性
角町 正勝本多 啓子新庄 文明
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2004 年 19 巻 1 号 p. 20-24

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抄録

N県下のT歯科医院で行っている平成7年から8年間の訪問歯科診療の対象者549名について, 訪問場所, 原因疾患, 転帰等について調査した。病院, 在宅では60~80歳, 施設では80~90歳, の占める割合が多く, より高齢層の多い病院・施設では, 比較的女性が多かった。原因疾患は循環器系疾患の中でも脳血管障害の占める割合が多かった。転帰については, 終了が39.5%, 治療継続中が20.2%, 死亡が20.2%, 中断が12.6%であった。急性期病院, 一般病院, 回復期病院, リハ病院では終了の割合が最も大きく, 維持期病院では死亡, 介護施設および在宅では治療継続中の割合が最も大きかった。回復期以降における対応の長期化に伴い, 患者の全身状況や経済状況の変化, 転移先との連携不備などによって中断率が高くなること, 死亡率が高くなることも無視しえない。発症直後の急性期を含む訪問歯科診療などの取り組みの普及が重要であることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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