老年歯科医学
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集団健診での「機能歯年齢」の算出方法についての提案
山本 孝文山賀 保島原 武司島原 政司河野 令渡辺 美鈴河野 公一
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2006 年 21 巻 1 号 p. 3-10

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抄録
集団健診での歯科健診結果から, 口腔内の状態を評価し, 受診者に興味深く説明できる方法について検討した。そのために, まず口腔内の残存歯および補綴歯に評価点数を設定し, 口腔内28歯の合計点数から「機能歯評価値 (FTES=Functional Tooth EvaluationScore) 」を算出することを考案した。このFTESにより, 実年齢とは異なる「機能歯年齢 (FTA=Functional Tooth Age) 」を算出し口腔内の状態を評価する指標として活用することを試みた。
調査は, 歯科健診を受診した男女それぞれ750人の合計1, 500人について実施した。
その結果, FTESは年齢の変化を反映し, 各年齢階級での平均FTESの推移を分析したところ, 年齢の変化に対応して平均FTESは減少していた。すなわち, 口腔内の状態を評価する指標としてFTESは年齢の変化を十分に反映していると判断した。
さらに, FTAを求めるために, 実年齢と平均FTESとの間で得られた関係式を活用した。すなわち, y=FTES, x=実年齢としたときに, y=-0.0005x3+0.057x2-2.4685x+123.36を得た。
この回帰式を逆推定する方法で, xの解を求めてFTAとした。逆推定に際しては, Newton法 (Newton-Raphson法) により数値解析を行った。
このFTAを歯科健診に応用したところ, 口腔内状況の説明や口腔疾患に対する意識向上・啓蒙にも利用できる可能性が示唆された。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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