老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
要介護高齢者の口腔状態に関する満足度とその関連要因
兵頭 誠治三島 克章吉本 智人菅原 英次菅原 利夫
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 21 巻 1 号 p. 11-15

詳細
抄録

高齢者において, 食事や会話を日常生活の生きがいや楽しみとする者は多い。本研究は, 高齢者, とりわけ要介護高齢者の日常生活動作のみならず, QOLにも大きく関与している口腔状態を把握し, 口腔状態に関する満足度とその関連要因について評価することを目的としている。
口腔状態に対する満足度に関して主観的評価にて満足している, 満足していないの2群に分けた。満足度に関連すると思われる項目を設定し, 得られた情報から, 統計学的解析を行い関連要因について検討した。
有意差をみとめた項目は, 咀嚼能力 (P<0.01), 咬合力 (P<0.05) であった。さらに, 林の数量化II類による多変量解析を行ったところ, 自立度, 咀嚼能力や口腔衛生状況に関係する項目が関連要因として示唆された。これらの背景には, 自立度低下などによる口腔衛生の不良な状況が, QOLの低下を招き, また咀嚼障害などの口腔機能障害をも生み出し, ひいては満足度の低下を引き起こしたことを示している。要介護高齢者における, 更なる口腔状態の改善がQOL向上に有用であると思われた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top