抄録
後期高齢者の入り口といわれる75歳の自立している人を対象に使用薬剤, 血清亜鉛値との関連を調査した。対象は414名で男性223名, 女性191名である。方法として, 薬剤の服薬調査と亜鉛不足も原因のひとつといわれている味覚障害との関連があるかどうかを調べるために血清亜鉛値, 血清銅値を測定した。さらに味覚に関するアンケート調査をおこなった。その結果, 薬剤服用者は薬剤を服用していない人に比べて血清亜鉛値が有意に低かった。なお, 1人当たりの服用薬剤の平均は2.6±2.8であった。
平均血清亜鉛値においては薬剤を服用していない人は80.53±13.29μg/dlであり, 1~4種類の薬剤服用者では76.19±12.98μg/dl (P<0.01) で, 5種類以上の薬剤服用者は76.11±11.23μg/dl (p<0.01) であった。なお, 全体の平均の血清亜鉛値は77.6±12.9μg/dlである。
血清亜鉛値65μg/dl以下の人は12.6%であった。さらに味覚アンケート調査では14.5%の人がなんらかの異常を訴えっていた。これらのことから今回の75歳を対象者とした調査では服用した薬剤数と血清亜鉛値に相関があり, それらのことが参考として調査した味覚のアンケートでの回答と何らかの関与があるのではと推定された。