老年歯科医学
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義歯の清掃と管理に関する調査研究
第1報現状と清掃実施者の指導についての意識
西 恭宏水口 佳中村 康典長岡 英一
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2006 年 21 巻 1 号 p. 25-34

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抄録

義歯清掃は, 口腔ケアの一環として高齢義歯装着者のQOLの維持と向上の観点から重要である。しかし, 義歯清掃指導が十分に実践されているとはいえず, 実践されていてもその指導内容が義歯装着者に十分理解されていないのが実情であると思われる。そこで, 義歯の管理や清掃指導に対する義歯装着者の認識についての現状を把握するため, アンケート調査を行った。
対象者は, 当院義歯補綴科, 歯科医院の通院者, 特別養護老人ホーム入所者, 在宅診療患者の合計806名 (平均年齢: 71.8歳) の義歯装着者である。アンケートは, 自記入または実際の義歯清掃実施者への聞き取りにより実施した。
就寝時の義歯撤去など装着時間の指導を受けたとの回答は47.6%であった。清掃指導を受けたとの回答は38.5%であり, 義歯補綴科以外の施設でその割合は少なく, 各施設間で有意差を認めた。さらに, 義歯洗浄剤の使用方法の指導を受けたとの回答は27.4%であり, その割合は歯科医院で少なく, 施設間で有意差を認めた。また, 特別養護老人ホームでは, どの指導においても受けたかどうかわからないとの回答が多く, その約75%が介護者による回答であった。
以上の結果は, 義歯装着者やその介護者に対する義歯清掃指導が不十分な実情を示しており, その十分な実践のためには, 効果的な義歯の清掃方法が確立され, その方法を歯科医療者が正確に理解していることが肝要と考えられた。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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