老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
歯科衛生士が行う専門的口腔ケアによる気道感染予防と要介護度の改善
足立 三枝子原 智子斉藤 敦子坪井 明人石原 和幸阿部 修奥田 克爾渡邉 誠
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 22 巻 2 号 p. 83-89

詳細
抄録

本研究目的は, 要介護高齢者に対する歯科衛生士が行う専門的口腔ケアが, 呼吸器感染症予防に関連するか否か, また要介護状態区分を改善するかを明らかにすることである。
方法は, 在宅の要介護高齢者96名を通所介護の場を利用して, 無作為に週一回の歯科衛生士による専門的口腔ケアを実施する群49名と, 本人による従来の口腔ケアを行う対照群47名に分けた。期間は2003年10月から2004年3月まで6ヵ月間であった。
調査項目は, 介入前後での要介護状態区分とADL, 期間中の肺炎, インフルエンザ, 感冒症候群の罹患の有無についてである。
肺炎, インフルエンザ, 感冒症候群の罹患者は, 介入群では4名 (8.2%), 対照群では12名 (25.5%) であった。介入群では, 49名のうち13名 (26.5%) に要介護度の軽度化がみられた。対照群では47名のうち3名 (6.4%) に要介護度の軽度化がみられた。統計処理の結果, 介入群では, 対照群に比べ要介護度の軽度化した人が多く見られ, 両群の間に有意差が認められた (p<0.05) 。介入群では, 対照群に比べ気道感染症に罹った人が減少傾向に有り, 両群の間に有意差が認められた (p<0.05) 。
要介護高齢者に対する歯科衛生士による専門的口腔ケアは, 気道感染を予防し, 要介護状態区分を軽減させる可能性があることを示した。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top