老年歯科医学
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口腔乾燥感の客観的な評価法に関する検討
岡根 百江北村 由紀子佐藤 裕二北川 昇真下 純一
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2007 年 22 巻 3 号 p. 298-308

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抄録
口腔乾燥感を訴える患者が急増している中で, 口腔乾燥状態を評価する検査法は複数存在するが, 測定結果と患者の訴える口腔乾燥感との関係は明らかにされていない。そこで, 患者の訴える口腔乾燥感と的確に対応する検査法を明らかにすることを目的に, 日内変動を考慮に入れ検討を行った。
被験者は口腔乾燥症状のない成人20名 (男12名, 女8名: 平均28.3±2.7歳) で, 測定は10時点 (前日就寝前, 起床直後, 朝・昼・夕の食事の前後, 就寝前, 翌日起床直後) とした。検査項目は『口腔乾燥感』, 『口腔粘膜保湿度』, 『唾液湿潤度』, 『安静時唾液分泌速度』の測定とした。測定期間中に感じた乾燥感の回数を元に『乾燥傾向あり』群と『乾燥傾向なし』群に分け, 『乾燥傾向あり』群において「口腔乾燥自覚時点」と「乾燥無自覚時点」との問で分析を行った。
統計解析の結果, 日内変動に有意性が認められ, 変動傾向は個人差が大きいことが明らかとなった。乾燥自覚時点と無自覚時点における分析では, 安静時唾液分泌速度にのみ自覚時点における有意な低下が認められた。
以上のことから, 患者の訴える乾燥感を客観的に評価可能な検査項目は, 安静時唾液分泌速度であることが示された。しかし, 患者個々に変動傾向は異なるため, あらかじめ変動傾向を把握した上で測定時期を検討する必要があることが示唆された。
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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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