抄録
専門的口腔ケアは介護予防に大きな影響をもたらすことが知られている。しかし, 日常生活援助を行う介護現場の職員が行う口腔ケアがもたらす効果については明らかになっていない。そこで, デイサービス利用者に対する, 看護・介護職員による口腔ケアの効果について検証することを本研究の目的とした。
デイサービス利用者29名を対象に, 職員が週に1回12週間の口腔ケアを行った。介入前に12週間の観察期間を設け, ベースライン, 介入前後の3時点で評価指標を調査した。解析は, ベースラインと共変量を調整し, 介入前後の比較を行った。
その結果, 口腔ケア指数は介入後に有意に改善していた (p<0.001) 。オーラルディアドコキネシスの介入効果は, ADLスコアの低い者に顕著であった (p=0.05) 。口腔湿潤度の介入効果はみられなかった (p=0.2) 。
デイサービス利用者に対して, 看護・介護職員による口腔ケアを実施した結果, 口腔ケア指数は改善し, オーラルディアドコキネシスはADLスコアの低い者で改善した。デイサービス利用者にとって, 看護・介護職員による口腔ケア介入は, 特に口腔清掃において週に1回でも効果的であることが示された。