老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
特別養護老人ホームにおける口腔衛生の実態
第2報介護職員による歯口清掃の方法
下山 和弘長尾 正憲小田切 一浩小川 仲子三浦 雅明
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 8 巻 2 号 p. 113-120

詳細
抄録

特別養護老人ホームの入所者の口腔衛生状況は不良であるという指摘が多くなされている。そこで特別養護老人ホームの入所者の口腔状態を改善する方法を考えるために, 特別養護老人ホーム (11施設) の介護職員を対象に入所者に対して行っている歯口清掃の方法について調査を行った。調査に回答した介護職員は100名で, 介護職の経験年数は平均5.7年であった。結果は以下のとおりであった。
1) 介護職員による義歯の清掃については毎日行うと回答者全員が回答した。清掃は夕食後に行われることが多かった。
2) 義歯の清掃方法としては歯ブラシまたは義歯用ブラシを使用する者が94名で, このうち義歯洗浄剤を併せて使用する者は58名であった。歯磨剤を使用する者は40名であった。
3) 介護職員による歯の清掃については毎日行うと96名の回答者が回答した。清掃は夕食後に行われることが多かった。
4) 歯の清掃方法としては歯ブラシを使用する者が95名であったが, 歯間ブラシやデンタルフロスを使用する者はわずかであった。
5) 清掃に使用するブラシを個人ごとに替えないとする者が義歯の清掃では39名, 歯の清掃では15名であった。
このような現状から, 口腔衛生管理・教育に歯科医師側が積極的に関わりをもつことが必要と考える。特に歯口清掃の具体的かつ有効な方法についての教育・指導が重要であると考える。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
次の記事
feedback
Top