老年歯科医学
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8 巻, 2 号
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  • 第2報介護職員による歯口清掃の方法
    下山 和弘, 長尾 正憲, 小田切 一浩, 小川 仲子, 三浦 雅明
    1994 年 8 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    特別養護老人ホームの入所者の口腔衛生状況は不良であるという指摘が多くなされている。そこで特別養護老人ホームの入所者の口腔状態を改善する方法を考えるために, 特別養護老人ホーム (11施設) の介護職員を対象に入所者に対して行っている歯口清掃の方法について調査を行った。調査に回答した介護職員は100名で, 介護職の経験年数は平均5.7年であった。結果は以下のとおりであった。
    1) 介護職員による義歯の清掃については毎日行うと回答者全員が回答した。清掃は夕食後に行われることが多かった。
    2) 義歯の清掃方法としては歯ブラシまたは義歯用ブラシを使用する者が94名で, このうち義歯洗浄剤を併せて使用する者は58名であった。歯磨剤を使用する者は40名であった。
    3) 介護職員による歯の清掃については毎日行うと96名の回答者が回答した。清掃は夕食後に行われることが多かった。
    4) 歯の清掃方法としては歯ブラシを使用する者が95名であったが, 歯間ブラシやデンタルフロスを使用する者はわずかであった。
    5) 清掃に使用するブラシを個人ごとに替えないとする者が義歯の清掃では39名, 歯の清掃では15名であった。
    このような現状から, 口腔衛生管理・教育に歯科医師側が積極的に関わりをもつことが必要と考える。特に歯口清掃の具体的かつ有効な方法についての教育・指導が重要であると考える。
  • 奥川 博司, 菊池 雅彦, 山口 由紀子, 服部 佳功, 渡辺 誠
    1994 年 8 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    パルスNd: YAGレーザーによる歯周病の治療効果を明らかにする目的で, 歯周病罹患歯の歯周ポケット内に照射を行い, 照射前後の症状を比較検討した。被験歯は歯冠補綴物や歯頸部の修復物を有さず, 両隣在歯を含め連続3歯以上に最大4mm以上の歯周ポケットを有する生活歯とし, 被験者30名より各1歯を選択した。照射装置 (dLase300, American Dental Laser, Inc., USA) の接触型ハンドピースを歯周ポケットに挿入し, 隅角部に各20秒間, 頬舌側部には30秒間照射した。照射出力は毎秒20パルスにて疹痛閾値下の上限に設定した。
    照射前および照射後終了1ヵ月後における臨床症状の診査結果より, 歯肉の発赤 (71%), 腫脹 (89%), 歯周ポケットからの出血 (81%) の著明な改善が認められた。歯周ポケット深度は, 照射前 (1~8mm, 平均3.1±1.2mm) と比較して, 照射後 (1~7mm, 平均2.1±1.1mm) に有意 (p<.001) に減少した。不快症状の発現は認められなかった。
    以上の結果より, 本法の歯周病に対する有効性および安全性が明らかにされた。癒痛閾値下で照射を行う本法は, 除痛処置が不用あることから, 生理機能の低下した有病者や高齢者に対しても, 安全かつ有効に応用可能であるものと思われた。これらは, 所要時間の短さ, ランニングコストの低廉さと併せて, 本法の有用性を示唆するものと考えられた。
  • 綿棒と柄付きスポンジの比較
    鈴木 章, 菊谷 武, 石田 鉄光, 山根 健, 稲葉 繁, 中田 和美, 福田 洋子, 中上 牧, 渡邊 晶子, 永嶋 京子
    1994 年 8 巻 2 号 p. 128-136
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    身体及び精神機能の低下により口腔ケアの自立が困難なケースでは, 介護者による補助が必要となり, その場合, 歯ブラシだけでなく種々の補助器具が使われている。これらの補助器具の中で, 日本で多く使用されている綿棒 (メンティップ®大小) と, 欧米で広く使用されている柄付きスポンジ (Toothette®) の口腔粘膜および歯面に対する清掃効果を評価検討した。清掃効果は付着性試料 (人工付着物) を付着させた上顎模型と人の口腔 (口蓋粘膜および上下顎前歯唇側面) を綿棒ならびに柄付きスポンジでぬぐい取り, その除去量を模型口蓋部では目視で, 口腔内では画像処理により評価された。
    大小綿棒と柄付きスポンジを用いた模型実験では以下の結果を得た。
    1) 小綿棒は清掃効果が著しく低い。
    2) 大綿棒では綿棒に付着した人工付着物をふき取りながら15秒以上行なうと清掃効果は高い。
    3) 柄付きスポンジではいずれの条件でも清掃結果は高い。
    さらに, 大綿棒と柄付きスポンジを用いた口腔内実験では以下の結果を得た。
    1) 口蓋部における清掃効果は, いずれの方法でも柄付きスポンジが大綿棒より有意に優れていた。柄付きスポンジを使用した場合の人工付着物除去率は99%以上であった。
    2) 歯面における清掃効果は, 水で湿らせ軽く絞った状態で回転しないもののみが両者間で差がない他は, 柄付きスポンジが有意に優れていた。柄付きスポンジを用いた最も良い条件では, 人工付着物除去率は98%であった。大綿棒では最も良い条件で81%であった。
  • 今井 光枝, 眞木 吉信, 杉原 直樹, 高江洲 義矩
    1994 年 8 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    電動歯ブラシは近年急速に普及しているが, 使用者の年齢層は多様である。今回は電動歯ブラシを高齢者が使用した場合の使用感, 歯口清掃効果ならびに歯周組織への影響を調査し, 口腔内のセルフ・ケア用具として適しているかどうかを検討した。被検者は現在歯を15歯以上有する64~81歳の男性2名, 女性4名で, 使用電動歯ブラシは回転式電動歯ブラシを採用し, 手用歯ブラシに代わるものとして1ヵ月間使用後の評価を行なった。
    1. 歯口清掃では6名中4名に電動歯ブラシによる歯垢除去効果が認められた。とくに隣接面と前歯部において効果的であった。
    2. 歯周組織に関してはプロービング時の出血部位数が減少し, 歯周ポケットの改善がみられ, 歯齪に対する損傷は全く認められなかった。
    3. アンケートで電動歯ブラシの音や振動, または植毛部の大きさや本体の重さは手用歯ブラシに比べても問題はなく, 使用感は「よい」であった。しかし, 電動歯ブラシの価格や替えブラシの交換時の入手方法にっいて問題が挙げられた。
    今回の調査で, 電動歯ブラシは高齢者にも歯口清掃効果が期待できることが示されたが, 高齢者が歯口清掃方法を改善し口腔内の健康を保持していくためには, 歯科医師・歯科衛生士による適切な指導が望まれる。
  • 奥田 啓之, 兼平 治和, 前田 照太, 藤原 到, 木原 伸彰, 井上 宏
    1994 年 8 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    咀嚼系の機能の保全や, また, 審美性の回復を目的として, 咬合高径の低下した患者に咬合を挙上し, 咬合再構成を行う場合がある。このとき, 高齢者では, 生理機能や急激な環境変化に対する適応能力の低下が想定されることから若年者よりも慎重に咬合挙上や咬合再構成を行うべきである。そして, 義歯装着後に新しい咬合高径や義歯にどのように適応していくかを知ることは, 高齢者の補綴処置を考える上で意義深い。
    今回, 明らかに咬合高径が低下していると思われる高齢者に咬合挙上を伴う咬合再構成を行った症例について長期的にEMGを記録し, 観察を行った。その結果, 咬合挙上や補綴物に対する適応の過程に関してEMGの時聞的要素と筋活動電位などのパラメータが有効であることを確認し以下の知見を得た。
    ガム咀嚼時の時間的要素は平均値, CV値ともにIntervalとCycle Timeで変化したが経時的に術前の値に近づき, 新しい咬合高径や義歯に適応することによって患者固有のリズムに回復していった。Durationに関しては, ほとんど変化が見られず, 咬合挙上や新義歯による影響は見られなかった。
    筋活動電位は, 直後には減弱するが新たな咬合高径に対する順応や, 咬合接触点の増加により経時的に増強していった。
    これらの適応には, 若年者よりも長い期間を要することが観察された。
  • 予防プログラムの可能性について
    深井 浩一, 江面 晃, 黒川 裕臣, 高岡 慈郎, 加藤 まり, 町田 裕哉, 吉岡 弘行, 榎本 友彦, 岡村 敏弘, 畑 好昭
    1994 年 8 巻 2 号 p. 148-156
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    平成3, 4年度に日本歯科大学新潟歯学部在宅診療往診ケアチームの診療を受けた患者83名中, 20名を対象に全身状態, 口腔内診査, CPITN診査および口腔衛生環境に関する聞き取り調査を行った。
    対象者の平均年齢は65.5歳で基礎疾患は脳血管障害が多かった。またADLでの評価は4以上が半数を占めた。残存歯数の平均は約20歯, DMF歯率は65.2%であり, プラークの付着程度は中等度のものが多かった。CPITNの結果では歯周疾患有病者率は95%であったが, その主体は浅いポケットと歯石沈着であり, 口腔衛生指導と予防処置で対応することが可能と思われた。また複雑な歯周処置を必要とする者は20%のみであった。
    聞き取り調査の結果ではブラッシングを毎日行うものが90%であったが, 30%の患者はブラッシングに全面的な介護を必要とした。
    各調査とCPITNの関係では, プラーク付着状態とCPITNの所見コードとの間に正の相関が認められ両者の関係が確認された。また家族・介護者によるプラークコントロールにも十分効果のあることがCPITNとの関係から示唆された。
    以上より, 在宅患者のなかには比較的軽度の歯周疾患罹患者の集団があり, 主訴の改善後にも口腔衛生指導や予防処置を主体とした予防プログラムを立案することにより, その効果が期待できる可能性のあることが分かった。またこの時の歯科衛生士の協力と家族の理解, 介護の重要性が示唆された。
  • 小田 泰之, 福与 晋邦, 藤田 裕, 玉木 甲之進, 佐藤 淳一, 須田 勝行, 岩成 進吉, 三宅 正彦, 工藤 逸郎, 京田 直人, ...
    1994 年 8 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    1983年から1992年までの10年間に日本大学歯科病院口腔外科を受診し, 入院加療を施した60歳以上の高齢者を対象に臨床統計的観察を行った。
    同期間の入院患者総数は2544名で, そのうち高齢入院患者は356名 (14.0%) であった。年齢は60歳から88歳にわたっていた。性別では, 男性189名, 女性167名であった。疾患別にみると腫瘍が170例 (良性41例, 悪性129例) と全体の47.7%を占め, 以下, 嚢胞, 炎症, 歯槽堤過吸収, 外傷の順であった。手術例は316例 (88.8%) であった。既往歴および現症より, 入院加療を施すにあたり特別な配慮を必要とすると考えられた基礎疾患は, 循環器系疾患が143例と最も多く, 消化器系疾患がこれに次いで多かった。高齢入院患者の55.9%が何らかの基礎疾患を有していた。
  • 平塚 正雄, 杉岡 雅樹, 石井 洋子, 山本 清, 武内 哲二, 塚本 末廣
    1994 年 8 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    平成3年4月, 福岡歯科大学附属病院に高齢・障害者歯科が開設された。当診療科で対象となる患者は高齢者 (原則として70歳以上) や行動管理が困難な障害児・者, さらには歯科治療中に全身管理が必要な有病者となっており, その他歯科治療恐怖症なども含まれる。そこで, 今回我々は当診療科開設後2年間に登録された65歳以上の高齢者について統計的観察を行い, その実態について報告した。
    開設後2年間に登録された65歳以上の高齢者は91名で, 来院患者総数の14.5%を占めていた。年齢分布では80~84歳が最も多く, 男女別では女性が多く来院していた。
    住所分布では本学附属病院の所在地である早良区や比較的近接した地区からの来院が大多数を占めていた。
    高齢者の約90%は何らかの基礎疾患を合併し, なかでも複数の基礎疾患を合併した高齢者が約半数を占めていた。基礎疾患の内訳では心疾患や高血圧症などの循環器疾患が最も多く, 以下脳梗塞などの脳神経系疾患や糖尿病などの代謝性疾患の順となっていた。
    1人平均の残存歯数は年齢の増加に伴って減少し, 特に70歳代からの減少が目立った。歯科処置内容では義歯などの補綴処置が最も多く, 全体の75.8%を占めていた。
  • 1994 年 8 巻 2 号 p. 167-179
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 8 巻 2 号 p. 180-186
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 8 巻 2 号 p. 187-194
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 8 巻 2 号 p. 195-207
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 8 巻 2 号 p. 208-219
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 第18同日本老年学会基本テーマ
    平井 敏博
    1994 年 8 巻 2 号 p. preface1
    発行日: 1994/03/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
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