日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
免疫便潜血検査における偽陰性大腸癌の検討
魚谷 知佳磨伊 正義
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2007 年 45 巻 2 号 p. 204-213

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抄録
大腸がん検診における免疫便潜血検査 (IFOBT) の有効性は確立しているが, 偽陰性症例を免れない点が欠点の一つである。当施設でIFOBTを行った177,887人から発見された212例の大腸癌症例を対象に, 偽陰性群について検討した。偽陰性群は癌症例の36.3%も占めており, そのうち25%は進行癌であった。しかし偽陰性群の便潜血定量値が前回陽性群, 初回群に比し有意に低く, O型が73.9%, 2cm以下が69.2%, 粘膜内癌が54.5%と, 他群に比べ早期の段階で発見される症例が多いことによるものと思われた。偽陰性群の約80%がDukes Aで, 61.3%が内視鏡的治療などの低侵襲的治療を受けていた。しかし, 偽陰性群の進行癌症例の半数が右側結腸に発見されており, 右側結腸の病変発見におけるIFOBTの弱点が再確認された。まず我々医療従事者がこの現実を十分に認識し, 免疫便潜血検査の受診率と逐年受診率の向上を図ることが, 現状における大腸がん検診において重要であると思われた。
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© 2007 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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