2007 年 45 巻 3 号 p. 309-316
日本消化器がん検診学会で出版した新・胃X線撮影法(間接・直接)ガイドラインは, X線検査による胃がん検診の更なる普及と精度管理の強化を目的としている。この新撮影法の答申後の全国集計の状況からは, 撮影者の習熟度が増し8枚撮影が普及していくことで画質が向上し, 新撮影法の理解が得られつつあることが推測できる。また, 実際に, 全国とわれわれの施設の両方から検討した結果, 明らかに, 要精検率の低下, 陽性反応的中度・早期癌発見率の増加, 内視鏡的切除可能な早期癌の増加, 逐年発見進行癌の減少などが実証されてきている。現在, 「日本消化器がん検診精度管理評価機構」がNPO法人化を申請しているが, 承認後は本学会の認定制度との整合性を図り, より社会的に認知された胃X線による胃がん検診を行う努力が必要である。現在, 厚生労働省により検討されている指針が, 胃X線検査に携わる者の努力が報われるものになることを期待している。