日本消化器がん検診学会雑誌
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膵・胆道がん検診の現況と問題点
乾 和郎
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キーワード: 膵癌, 胆道癌, 超音波検診
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2008 年 46 巻 2 号 p. 198-201

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抄録

当科ならびに関連施設における膵・胆道がんに対する超音波検診の現状分析を行うとともに文献的考察を加え報告した。胆嚢がん98例のうち検診で発見されたのは11例(11.2%)であった。進行度はStageI5例(45.4%)と半数近くを占めていた。それに比べて膵がんと胆管がんでは検診で発見された症例は極めてわずかであった。関連施設における超音波検診受診者は4年間で91,803名あり, 膵がんは2例(0.002%), 胆管がんは1例(0.001%)にすぎなかった。一方, 胆嚢がんは別の期間ではあるが0.01%と比較的高率で, 検診が早期発見に貢献していると考えられた。膵がんの危険因子としIPMNと膵石症が考えられ, 今後, 定期的な経過観察を行っていく必要がある。胆管がんには未だ有効な危険因子は見つかっていないことから, 肝機能検査異常や超音波検査による胆管拡張を丹念に拾い上げていく必要がある。

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© 2008 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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