2009 年 47 巻 1 号 p. 35-42
(財)山口県予防保健協会の胃集検では2002年度より新撮影法導入に向けてバリウム濃度, 体位変換, 撮影体位などの変更を年次行ってきた。今回, 撮影法変更後の5年間の成績を変更前の2年間(2000年度, 2001年度)の成績と比較・検討した。撮影変更後では従来法に比べて早期胃癌比率の著明な上昇が認められ, 撮影法変更による大きな成果と思われた。部位別早期癌率においてはM領域のみならず, 従来法で特に不良であったU領域とL領域の発見率にも著明な向上が認められたが, U領域の早期癌比率は他の領域に比べてやや低い傾向にあった。壁在別の検討では後壁病変における早期癌の拾い上げ増加が顕著となり, 新撮影法による二重造影像の描出能向上が示唆された。見逃し症例の検討では前年度フィルムで指摘不能例あるいは指摘困難例と考えられた症例が5例あり, そのうちU領域に3例, M領域とL領域に各々1例ずつみられた。