日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
原著
大腸がん検診における受診間隔と予後─逐年検診から隔年検診(2年毎)に変えるとどうなるか?─
松田 一夫野口 正人田中 正樹
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 47 巻 2 号 p. 240-247

詳細
抄録

大腸がん検診には逐年・隔年検診ともに死亡率減少効果があるが, 逐年検診を隔年に変えると発見がんの予後がどうなるか検討した。
1992年から1998年に福井県内で施行された大腸がん検診受診者246,660名を地域がん登録と記録照合し検診後2年以内に判明した浸潤がんを把握した。逐年群を逐年検診後1年以内に診断されたがん, 隔年群を隔年検診後1年以内に診断されたがんおよび検診の1年以後2年以内に診断されたがんと定義し, 中間期がんの割合および累積生存率を比較した。またCoxの比例ハザードモデルによって大腸がん死亡のハザード比を比較した。
隔年群(111例)の中間期がん割合は40%で逐年群(90例)の17%よりも有意に高く(P<0.001), 5年累積生存率は73.0%と逐年群の88.9%より有意に不良で(P=0.003), 逐年群より2.29倍死亡の危険が高かった(P=0.043)。
逐年検診を隔年に変えると, 中間期がんが増え予後不良となる可能性を認識すべきである。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
前の記事 次の記事
feedback
Top