日本消化器がん検診学会雑誌
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総説
狭帯域フィルター内視鏡(NBI)による食道癌スクリーニング
石原 立花房 正雄
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2010 年 48 巻 4 号 p. 419-428

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抄録

食道癌の早期発見のためにヨード染色が主に用いられてきたが, 染色後の胸痛などの症状が問題であった。一方, 狭帯域光観察(NBI:Narrow band imaging)は狭帯域化した光を照射することにより, 染色液を用いずに粘膜表層を強調表示でき, 通常内視鏡では視認困難であった食道表在癌の発見を可能とした。これまでにもNBIの食道癌スクリーニングにおける正診率は通常内視鏡よりも高く, ヨード染色に匹敵するものであると報告されている。今回我々は食道癌スクリーニングにおけるNBIの有用性について, 内視鏡医の経験度別に検討した。経験の長い内視鏡医の食道癌診断における感度はヨード染色と同等であったが, 経験の短い内視鏡医の感度は53%とヨード染色に比べ低かった。つまりある程度経験を積めば, NBIは食道癌スクリーニングに用いることができる。しかし経験の浅い段階では, NBIの食道癌検出における感度は十分でなく, ヨード染色の併用が必要と考えられた。

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© 2010 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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