日本消化器がん検診学会雑誌
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総説
がん検診における受診率拡大の基本的考え方
草野 健渋江 正瀬戸山 史郎西俣 寿人中原 信昭伊東 祐治有馬 貞三納 利一鮫島 由規則松元 涼林 芳郎三重 浩子
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2010 年 48 巻 4 号 p. 404-418

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抄録

がん死亡減少を目的とするがん検診の遂行にあたっては, 効率や有効性などの追求だけでなく, 受診率拡大が必須となる。
受診者数減少が継続している胃がん検診受診の動向を鹿児島県の成績を中心に分析すると, 地域胃集検では殆どの年代で減少し, 職域で若干増加しているが, いずれも初回受診者は1割未満と受診者の固定化が著明である。しかし, 行政の報告による地域胃集検受診率は上昇傾向にあるなど, 行政も実態の全体像は把握できていない。また, 受診率拡大のために各市町村は多彩な受診勧奨法を実施しているが, 普遍的有効性を持つ勧奨法は認められない。
一方, 施設健診として実施される任意型検診は増加傾向にあるが, 多くの検診機関以外の医療機関でも実施され, その実態把握は困難である。
受診率拡大方策は, 画一的ではなく対象集団特性を踏まえての多彩な方式が採用される必要があるが, そのために先ず, 正確な受診動向実態把握が不可欠である。

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© 2010 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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