日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
経鼻内視鏡検査および通常内視鏡検査による胃腫瘍発見率の比較検討─背景胃粘膜萎縮, Helicobacter pylori感染を考慮して─
中田 博也井口 幹崇前北 隆雄榎本 祥太郎玉井 秀幸加藤 順一瀬 雅夫
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2011 年 49 巻 6 号 p. 1087-1095

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抄録
経鼻内視鏡は通常内視鏡よりも画質が劣るという欠点があるが, 苦痛が少なく安全性も高い故に, 内視鏡検診には最適である。我々は経鼻内視鏡および通常内視鏡別に, 胃腫瘍の発見率を比較し, また患者の背景胃炎別による検出率などを比較検討した。対象は上部内視鏡検査を行った患者2,987例で, 既報に準じて, 背景胃炎をA, B, C, Dの4群に分け検討した。胃腫瘍53例を検討対象とした。経鼻群21/1,280例(1.64%), 経口群で32/1,707例(1.87%)で両群間には有意差を認めなかった。次に背景胃粘膜別に比較するとH.pylori感染の有無では有意差を認めなかったが, 胃粘膜萎縮のない群では, 経鼻群0.13%に対して通常群は0.79%と有意に高かった。胃炎の進展形式別では, B群で経鼻群0.53%に対して通常群3.11%と有意に高かった。経鼻内視鏡の胃癌の発見率は, 通常内視鏡に劣ることはないが, 胃粘膜萎縮のない群(B群)では診断能が劣り, 注意が必要である。
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© 2011 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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