日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
錠剤型経口腸管洗浄剤を用いた大腸内視鏡前処置法の工夫と有用性─患者受容性および腸管洗浄効果に関する無作為比較試験─
岡 志郎田中 信治吉田 成人日山 亨伊藤 公訓北台 靖彦吉原 正治茶山 一彰
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2012 年 50 巻 1 号 p. 20-29

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抄録
大腸内視鏡検査では前処置として, 腸内容物を排泄させる腸管洗浄剤が用いられるが, これらの味, におい, および服用量が患者に与える負担は少なくない。我々の施設では, 前処置における患者の受容性を向上させるために, 検査前日に検査食や下剤を併用することで水溶液型経口腸管洗浄剤の服用量を従来の約半分に減らすことに成功している。今回, 錠剤型経口腸管洗浄剤であるリン酸ナトリウム製剤(ビジクリア®錠)でも, 同様な方法で服薬量を減じることが可能か否かを明らかにするため, ビジクリア®錠, ポリエチレングリコール溶液(ニフレック®), ならびクエン酸マグネシウム溶液(マグコロール®P)の半量投与を比較する無作為比較試験を実施した。その結果, 患者受容性の評価での総合的な服薬のしやすさにおいて, ビジクリア錠群(83.0%)は, ニフレック群(63.4%)よりも有意に優れており(p<0.05), マグコロールP群(84.4%)と同様の受容性が認められた。一方, 腸管洗浄効果の評価では, いずれの投与群においても約9割の患者で良好な腸管洗浄効果が認められ, 3群間に有意差は認められなかった。
以上より, ビジクリア®錠においても検査前日の検査食と下剤の併用による規定量の半量投与は, 検査に必要な洗浄効果を維持したままで患者の受容性を向上させることが可能であった。
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© 2012 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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