日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
原著
FDG─PET/CTで発見された大腸限局性集積の臨床的検討
曽根 康博熊田 卓久永 康宏金森 明安東 直人安田 諭川地 俊明安田 鋭介
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 50 巻 5 号 p. 520-528

詳細
抄録
大腸癌はFDG-PETにて限局性集積として描出されることが多い。我々は当院でPET/CT装置を導入した2008年6月から2011年6月の約3年間に, 院内一般診療目的で行ったFDG-PET/CT検査3,987件の中から既知の活動性大腸癌病変を有する233件を除外した3,754件を対象とし, 読影時に発見された大腸限局性集積について臨床的検討を行った。大腸限局性集積は65例(1.73%)に指摘され, 上行結腸とS状結腸, 直腸に多く見られた。うち53例(81.5%)に主に全大腸内視鏡検査による精査が行われ, その結果は癌20, 腺腫16, 病変なし12, その他良性病変5例と判明した。大腸癌発見率は0.53%であった。大腸限局性集積に癌の占める割合(陽性反応的中度)は30.8%で, 癌と腺腫を合わせると55.4%であった。大腸限局性集積は腫瘍の比率が高いため, 積極的に拾い上げて内視鏡検査を行う必要がある。FDG-PET/CTは臓器別の検診法ではないが, 大腸癌発見は最重点目標のひとつとすべきである。
著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
前の記事 次の記事
feedback
Top