2012 年 50 巻 6 号 p. 691-696
【目的】 ケアレスミスにより抗血栓療法中に観血的処置が不適切に行われており, リスクマネージメントが必要と考えられる。
【方法】 2009年8月に当院健康管理センター(以下健セ)は抗血栓療法中の患者に対する観血的処置を回避するために青色鉗子栓を用いた安全対策を導入した。内服継続中では青色鉗子栓を, それ以外では従来の黒色鉗子栓を術者が装着するようにした。一方本院内視鏡室(以下本院)では本対策を導入せず検査を行った。
導入2年後に両部署で同時期に検査を行った医師10名を対象に, ケアレスミスによる処置の有無などについてアンケートを行った。
【結果】 平均卒後年数は12.6年であり, 一人の平均内視鏡件数は健セで1,174.9件, 本院で1,116.3件であった。本院では2年間に5名が計6例に対しケアレスミスによる処置を行っていたが, 健セでは認められなかった。
【結論】 本対策は抗血栓療法中の内視鏡検査のリスクマネージメントとして有用であると考えられた。