抄録
潰瘍合併胃癌と良性潰瘍の鑑別は困難な場合があるが, 狭帯域光(NBI)併用拡大観察が診断に有用だった症例を経験したので報告する。症例は66歳男性で, 検診の上部消化管内視鏡検査(EGD)で胃角前壁, 胃角後壁に潰瘍性病変を認め, 精査加療目的に当院紹介となった。2回のEGDで生検を行うが胃癌の診断に至らず, 3回目のEGDにおけるNBI拡大観察でIIc面を認識でき, 同部位からの生検でGroup5の診断を得られた。潰瘍性病変は自然経過の中で悪性サイクルを繰り返すため, 悪性サイクルを理解し, 潰瘍辺縁部を注意深く観察し, 表面構造や血管異型を認めたIIc面より確実に生検を行うこと, また内視鏡所見にて悪性を疑ったが生検で陰性であった場合は, 検査期間をあけ, 炎症が治まり再生粘膜に覆われた時期に再検をすることが重要と考えられた。