抄録
症例は52歳男性。健診の腹部超音波検査で左上腹部に石灰化と充実成分を伴う嚢胞性腫瘤を指摘された。上部消化管造影検査および上部内視鏡検査では胃粘膜下腫瘍の像を呈していた。CT, MRIでは胃背側から膵尾部にかけて多房性嚢胞性腫瘤を認め, 由来臓器の同定が問題となった。血管造影で腫瘤は胃の動脈から供血されており胃由来の腫瘍が示唆された。これらの画像所見から胃穹窿部由来の嚢胞変性したgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断し, 胃部分切除, 膵体尾部, 脾臓合併切除術が施行された。腫瘍は約10×5cmにわたり胃壁と連続していた。充実部分の病理組織像では紡錘形細胞が柵状に配列し, 固有筋層から粘膜筋板直下の粘膜下層に進展していた。また膵への浸潤はみられなかった。免疫染色ではc-kit(+), CD34(+), 一部でdesmin(+), S-100(-)でありGISTと診断された。充実成分や厚い壁を有する嚢胞を胃壁由来の腫瘍に認めた際にはGISTの嚢胞変性の可能性を鑑別診断に入れるべきである。