日本消化器がん検診学会雑誌
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この症例に学ぶ
検診にて発見したIgG4関連疾患の一例
西 潤子牧野 泰博土亀 直俊
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2013 年 51 巻 5 号 p. 564-569

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抄録

症例は63歳男性。検診にて血糖値の異常を指摘され, 腹部超音波検査にて膵の腫大と全体のエコー輝度の低下を認めた。8ヶ月後の再検時には総胆管壁の肥厚も出現した。CT検査にて膵はソーセージ様に腫大し, 辺縁に被膜構造を認め, 典型的な自己免疫性膵炎の所見を呈していた。総胆管や胆嚢管には強い壁肥厚を認め, MRCP上総胆管下部は狭小化し膵管には非連続性の狭細化を認めた。腎にも多数の造影不良域があり, FDG-PET検査にては膵, 腎への集積の他に唾液腺, 前立腺, 肺門にも異常集積を認めた。血清IgG4値は上昇し, 肝および腎からの生検組織にてIgG4陽性形質細胞の浸潤と線維化を認め, IgG4関連疾患とそれに伴う自己免疫性膵炎と診断した。ステロイド療法を開始し, 速やかに異常所見は改善した。IgG4関連疾患は全身に多彩な病変を呈する疾患であり, 画像所見も多彩であるが典型例を把握しておく事は重要である。

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© 2013 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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