日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
原著
高濃度バリウムによる胃X線検査偶発症推計方法の検討
岸 知輝濱島 ちさと
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 52 巻 4 号 p. 431-440

詳細
抄録

高濃度バリウムで誤嚥増加が報告されており, 偶発症調査が求められている。2012年度医薬品医療機器総合機構(以下, PMDA)報告を用い偶発症発症率を推計し, 2010年度精度管理委員会報告(以下, 委員会報告)と比較し偶発症調査の課題を検討した。偶発症発症率は分母となる検診受診者数を変化させ感度分析を行った。
全国集計委員会報告が検診受診者の半数を把握していると仮定したシナリオでのPMDA推計値は, 偶発症死亡率(10万人対)は0.036であり委員会報告の0.032と同等の結果となった(P=0.91)。しかし誤嚥発症率推計値は委員会報告より有意に低く(P<0.05), 消化管穿孔発症率推計値は委員会報告より有意に高く(P<0.05)結果は乖離していた。
非常に重篤な死亡は比較的正確に把握できているが, 誤嚥や消化管穿孔は正確に把握できていない可能性がある。偶発症を定義しモニタリングを継続する必要がある。

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
前の記事 次の記事
feedback
Top