日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
任意型胃X線検診におけるH.pylori感染状態の判定法の現状と課題―対策型検診への導入を目指して―
安田 貢前田 剛小林 三善
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2015 年 53 巻 1 号 p. 17-29

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抄録

KKR高松病院人間ドックセンターでは, 平成25年度より, 任意型検診である人間ドックの胃がん検診において, 受診者全員の血清H.pylori(Hp)抗体価, pepsinogen(PG)値を測定し, 問診内容も参考の上で, 総合的に個々のHp感染状態(現感染・既感染・未感染)を判定している。これをgold standardとした際の, 胃X線(1,535名)の背景胃粘膜読影によるHp感染状態の正診率は91.4%であったが, 現感染と既感染を区別しなければ96.5%と良好であった。今後は未感染者増加への対応が課題と考えられた。この読影方法は胃X線検査のみ実施する対策型検診においても適用可能である。Hp感染が疑われる受診者は, 精検不要であっても感染診断後, 除菌治療が考慮されるべきであろう。胃がんの早期撲滅のためには, 今後すべての胃がん検診システムが「Hp感染胃炎」という新基軸をもとに再構築されていく必要があると考えられた。

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© 2015 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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