2015 年 53 巻 2 号 p. 204-211
【背景・目的】患者受容性の高い経鼻内視鏡を実行するためには適切な鼻腔麻酔が必須で, スティック2本法(従来法)が有用とされる。しかし煩雑で時間がかかるという指摘もある。そこで従来法と同様の効果で麻酔処置時間の短縮を目的としたスライド式スティック法(スライド法)を開発し従来法と比較検討した。【方法】上部消化管スクリーニング目的患者100例を前向き無作為に従来法50例, スライド法50例に割り付け, 鼻腔麻酔中の鼻痛, 検査中の鼻痛, 麻酔処置時間, 鼻粘膜傷害につき検討した。【結果】スライド法は従来法と比べ鼻腔麻酔中および検査中の鼻痛, 鼻粘膜傷害は非劣性であり麻酔処置時間は有意に短かった(平均44秒)。【結論】スライド式スティック法は患者受容性に与える影響は従来法と遜色がないだけでなく, 麻酔処置時間を短縮できる有用な方法と考えられる。