日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
地域がん登録を利用した大腸がん検診の精度管理と中間期がんの臨床病理学的検討
服部 昌和藤田 学井尾 浩一宗本 義則松田 一夫
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2015 年 53 巻 3 号 p. 389-398

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抄録
目的:精度の高い地域がん登録資料を用いて大腸がん集団検診の感度・特異度を測定し, 中間期がんの臨床病理学的検討を行う。また照合による検診精度管理事業化への課題を明らかにする。対象と方法:2004年4月1日から5年間の福井県大腸がん集団検診受診者168,259名と福井県地域がん登録資料との記録照合を行った。結果:一次検診の感度は88.5%, 特異度94.9%であった。臨床病理学的には, 中間期がんでは占居部位, 組織型および壁深達度の各項目において検診発見がんとの間に頻度や分布に有意差はなかったが, 遠隔転移例が有意に高率であった。5年相対生存率は検診発見がん95.1%, 中間期がん88.7%に対し, 検診以外発見がんは59.6%であった。結論:福井県における大腸がん集団検診は精度高く行われており, 更なる検診受診率の向上と逐年検診勧奨を含めた中間期がん減少対策が重要である。地域がん登録を用いた検診精度管理の事業化が望まれる。
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© 2015 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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