日本消化器がん検診学会雑誌
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症例報告
スクリーニングCT colonographyにて生じたS状結腸穿孔の1例
満崎 克彦松田 勝彦福永 久美菅 守隆工藤 康一吉田 健一伊牟田 真功
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2015 年 53 巻 6 号 p. 810-816

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抄録
症例は70歳女性。大腸がん検診目的でCT colonography(CTC)を施行。炭酸ガス自動送気装置を用いて腸管拡張を行い, 検査中・検査後も腹痛等の自覚症状は認めなかった。画像所見ではS状結腸に多発憩室に伴う拡張不良は認めるものの, 穿孔を疑う遊離ガスは認めなかった。検査翌日より軽度の下腹部痛および微熱を自覚したが放置していた。その後下腹部痛と発熱が持続し, 検査後第6病日に造影CTおよびMRIにてS状結腸憩室穿孔による膿瘍形成および急性汎発性腹膜炎と診断され緊急手術を受けた。CTCは低侵襲で安全な検査ではあるが, 稀に腸管穿孔が起こりうることを認識すると同時に, そのリスク要因や予防に関しても習得すべきである。また, 穿孔の早期発見に努め, 不幸にして生じた場合にはフォロー体制を構築しておくことが大切である。本邦においてスクリーニングCTCが原因となった腸管穿孔の報告はなく, 教訓的な1例と考え報告する。
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© 2015 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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