日本消化器がん検診学会雑誌
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Helicobacter pylori除菌治療後の検診受診者に対する 胃X線検査による感染診断の検討─診断精度と問題点─
萩原 武寺門 洋平西岡 均今村 哲理
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2016 年 54 巻 1 号 p. 42-51

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抄録

(目的)除菌治療後の検診受診者における胃X線検査を用いた感染診断の精度を明らかにする。
(対象・方法)当院の検診受診者で, 当院で除菌治療を行いH. pylori陰性が確認されている131人に対して, 中島らの分類をもとに胃X線検査で感染診断を行った。
(結果)14.5%で未感染, 48.9%で既感染, 36.6%で現感染と診断し, 除菌治療時の年齢が55歳未満, 除菌治療を行った背景疾患が胃炎または十二指腸潰瘍・瘢痕の検診受診者では未感染と診断し, 背景疾患が胃潰瘍・瘢痕の検診受診者では現感染と診断した。
(結論)除菌治療の適応拡大に伴い除菌治療をうけた検診受診者が増加すると思われるが, 胃X線検査のみで除菌治療後の検診受診者に感染診断を行えば, 多くの偽陽性や偽陰性が発生し危険であると思われた。

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© 2016 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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