日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
胃がんリスク評価(ABC分類)の至適陽性基準の検討 ─胃がん検診の効率化を目指して
河端 秀明小林 正夫望月 直美宇野 耕治真田 香澄萬代 晃一朗西大路 賢一釜口 麻衣
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2017 年 55 巻 1 号 p. 21-30

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抄録

当院人間ドック受診者1125名における内視鏡的胃粘膜萎縮度と胃がんリスク評価(ABC分類)との対比により, ABC分類の至適な陽性基準について検討した。三木らの陽性基準では, A群中に内視鏡的に萎縮を有する“偽A群”は17.6%(99/560名), また内視鏡的に萎縮のない群の中にD群と判定された“偽D群”は0.2%(1/467名)含まれていた。H.pylori抗体≧3.0u/mlを陽性とすると“偽A群”は8.5%(40/467名)に減少し, さらにPG陽性基準をPGI≦70ng/mlかつPGI/II比≦3.5に変更すると, “偽A群”は7.8%(36/459名), “偽D群”は1.0%(5/467名)となり, ともに低値に抑えられた。胃がんリスク評価において, 陽性基準の変更により“偽A群”を減らし“偽D群”の増加も抑えることができ, より精度が高いリスク診断と効率的な内視鏡検診が可能と考えられる。

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© 2017 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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